▼漫画家・いがらしみきおさんが本紙連載でバレンタインデーについて書いていた。タイトルは『チョコの意味』
▼いつぞやチョコメーカーが義理チョコはやめようという広告をだした。意味が変わったという趣旨だったか。訳が分からなかった。今度はどうかと読んでみた。やはり意味は分からなかったが、世代が近いと感じたのは、女性が男性に愛の告白する日として日本で発展したバレンタインデーについて「チャラチャラしてるな」と硬派の感じを受けたということだった
▼同じ感覚になったことを思い出すが、自分の場合は裏がある。チョコがもらえそうもないから、そう言って予防線を張った感がある。義理チョコはなく、中学、高校、大学と予想通りもらえなかった。自分は女の子からチョコをもらって喜ぶような軟派じゃないんだという硬派のそぶりがますます激しくなった
▼昔のダンスホールの売れないダンサーを思い出す。誰からも声をかけられず、壁を背にたったままの“壁の花”だ。自分もそうだと思っていただけに、会社員になって義理チョコをもらった時は胸が弾むような思いがした
▼チョコメーカーが何と言おうが、いがらしさんが贈る方も返礼する方も大変だと否定的になろうが、内心はほとんど賛成しない。中学生の時に本命チョコをもらったといういがらしさんには理解できない感覚かもしれない
▼バレンタインデーは迫害されたキリスト教聖徒にちなむとされ、恋人同士のプレゼント交換が始まりとされるが、日本は独自に発展した。ホワイトデーもできた。日本流に発展したのであり、そのことにさして意味はないだろう
▼核家族でよそよそしくなった日本社会で、折に触れ親睦を図る行事が盛んになることは少子化の中でも、悪いことではない。