伊勢新聞

2024年2月9日(金)

▼午前5時20分ごろ、と言えば今の季節、まだ暗かったか。明和町の国道23号の上り側道を歩いていた同町長、世古口哲哉さんが軽乗用車にはねられ死亡した

▼松阪署が原因を調べているが、同町役場によると公務ではなかった。あるいは、健康のためのウオーキングを実践していたか。集団で歩く人々の記事が写真とともに掲載されるが、気になるのは歩道が見当たらないことだ

▼国道などは歩道が整備されているが、すべてではない。側道になるとほとんどなく、県道や町道の歩道は段差や損壊も多く、歩きにくい。単独のウオーキングやジョギングで車道を利用する人は珍しくない

▼国道23号の上り側道はどうだったか。一般論として、国道の側道は歩きよくても道幅が狭く、車の通行は少ないが、それが軽自動車にとっては逆に走りよい

▼夜間の側道で、かわし切れずに倒れ込んだこともしばしば。午前5時半という微妙な時間帯が、歩行者の世古口町長と運転者の視界に互いがどう写ったか。歩道の整備が求められるのは園児らの園外活動のためばかりではない

▼津市の三重大学前の23号交差点では朝の渋滞が激しく、同市内の中勢バイパス開通後も事態は一向に改善されずにとうとう一定時間、横断歩道の利用が禁止された。同バイパスの渋滞も激しい。全線開通で沿線首長らは喜んだが、市民に共有されたかどうか

▼昨年の交通事故死者は、コロナ明けの影響で五年ぶりに増加した。歩行者が多いが高齢者は減ったという。現職町長の交通事故死の衝撃を忘れてはなるまい。