東畑記念館の改修完了 農林業の学習施設に再生 三重・松阪

【改修工事が完了した東畑記念館=松阪市嬉野川北町で】

【松阪】東畑精一顕彰会「楷樹(かいじゅ)の会」(森川茂幸会長)は2日、三重県松阪市嬉野川北町の県農業研究所場内にある東畑記念館の改修工事落成式を開いた。

農業経済学者の東畑精一(明治32年―昭和58年)は豊地村(現松阪市)出身。戦後農政や農業基本法の制定に大きな役割を果たした。

同館は東畑が昭和46年、県庁を建築設計した弟の謙三の設計で研修資料館として建設し、約1万冊の蔵書とともに県へ寄贈した。農家のかやぶき屋根を表現し、柱をなくした大広間を設けた。老朽化のため平成28年から立ち入り禁止になっていた。書籍は県立図書館に移されている。

農林業の学習施設として再生するため、岡田文化財団や東畑建築事務所などが出資し、同会が施主となり工事を進めた。改修後は鉄筋コンクリート造り平屋建て、建築面積145平方メートル。

森川会長は「活用せず放置されたが、再び立派な施設に生まれ変わった。会の活動拠点として運営したい」とあいさつし、廣田恵子副知事から感謝状を受け取った。

竹上真人同市長は「嬉野の皆さんの顕彰する心が結びついた。郷土の偉人を子どもたちに伝えていく基地ができあがった」と祝った。

くす玉を割り、記念の桜を同館庭園に植樹した。