▼本紙政経懇話会の新春恒例の知事講演はなかなか異色だったのではないか。教育行政にも責任を持つ立場になった知事が、子ども施策に注力する筆頭にフリースクールの支援をあげるのは、あまり例がなかったのではないか
▼「不登校の子どもが全国で増えている」と一見勝之知事。県内でも毎年高校一校分の中途退学者が出ると言われて久しい。それに伴い、民間有志らが営むフリースクールが広がったが、県教委らはフリースクールを認める方向に転じた今も、中途退学者を学校に戻すことを第一義とし、学校復学者数を誇る。学校に息苦しさを感じる子どもの根本的支援にはならない。知事の方針がフリースクールと学校教育とが並び立つ方向を模索するとすれば、意義は大きい
▼県の「子ども施策」は、これまでどちらかといえば“新味”を競った。野呂昭彦元知事は「子育ち支援」の名称で「子育て支援」とは一線を画したし、鈴木英敬前知事は、新しい要素がない施策には冷淡だった。一見知事は目新しさより、必要性があって定着してきたものに、こだわりなく目を向けようということか
▼「行政官」を強調するのも、政治家志向の最近の知事には珍しい。G7交通大臣会合の誘致や、四日市港関連の予算獲得は「(私が)国交省で働いていなければ難しかった」。公共事業の予算も
▼本紙の「県庁人事予測」の記事を興味深く読んだそうだが、だから、焦点の副知事人事は、旧来の公共事業交渉担当として国から招く形に戻す必要は全くない、などの言質は与えなかった。