伊勢新聞

医師・橘南谿を紹介 天文学など広く活躍、津で資料展 三重

【「打頸重罪人解剖図」を紹介する名越さん=津市久居東鷹跡町の久居ふるさと文学館2階で】

【津】江戸時代の医師で三重県津市久居出身の橘南谿(なんけい)(1753―1805年)を紹介する展示が、津市久居東鷹跡町の久居ふるさと文学館2階で開かれている。医学、天文学、文筆など多岐にわたる偉業を紹介している。2月4日まで。火曜休館。28日午前11時―正午、同館所蔵の「橘南谿坐(ざ)像」を公開する。

南谿は久居藩士の五男に生まれ19歳で京都に出て医師となり、全国を歩いて見聞録「西遊記」「東遊記」を著した。医師自らが執刀する解剖を日本で初めて行ったほか、天体観測会を開くなど幅広く活躍した。

同展は地元の歴史を学ぶ「久居ふるさと郷土会」が企画。南谿の年譜のほか、著作に登場する県内の史跡などを原文と現代語訳で紹介している。

絵巻本「打頸(くび)重罪人解剖図」の写し27点は、人体解剖を自ら行い、著名な絵師に描かせた中からの抜粋で、頭部、胸部、内臓など克明に記録している。

同会の名越正直さん(58)は「マルチな才能に加え多くの人の協力を得られる魅力的な人だったのでは」と推察し「坐像の公開は貴重な機会。1時間だけだがぜひ来場を」と呼びかけた。