伊勢新聞

御影堂に放水、宝物搬出も 津の高田本山専修寺で防火訓練 三重

【御影堂に向かって放水するはしご車や消防車両=津市一身田町の専修寺で】

【津】文化財防火デー(26日)に伴う防火訓練が25日、三重県津市一身田町の高田本山専修寺であった。重要文化財の搬出や初期消火訓練、はしご車からの放水などを実施。同寺職員や管内外の消防団、北・中両消防署などから計109人が参加し、有事に備えた。

訓練は震度6強の地震で御影堂の一部が倒壊し灯明の転倒により出火した想定で開始。職員は参拝者を誘導し宝物に見立てた箱を堂内から次々に運び出し、如来堂への延焼を防ぐため初期消火を行った。その後消防車両が御影堂前に並び、合図と共に一斉放水。はしご車は約3メートルの高さから勢いよく放水した。

【宝物に見立てた箱を運び出す自衛消防隊=津市一身田町の専修寺で】

訓練後、小宮伸介教育次長は「貴重な文化財は一度火災でなくなるとなかなか修復ができない。訓練の意義を後々に生かし文化財を守って」、伊野匠北消防署長は「基本的な訓練を繰り返すことでいざという時慌てず的確に行動できる」、同寺職員でつくる自衛消防隊長の増田修誠宗務総長は「天災は忘れた頃にやってくる、備えあれば憂いなしは誰にとっても大事な言葉」とそれぞれ講評した。

文化財防火デーは昭和24年1月26日に法隆寺金堂壁画が焼失したことから同30年に制定。専修寺は国宝建造物と複数の重要文化財があり20年以上前から毎年この時期に訓練をしている。