伊勢新聞

<まる見えリポート>女子ラグビー・パールズ 齊藤主将、NZ世界最高峰リーグに参戦

【2023シーズン新体制発表会で決意表明するパールズの齊藤聖奈共同主将=2023年4月、四日市市内で】

三重県四日市市拠点の女子ラグビーチーム、PEARLS(パールズ)主将の齊藤聖奈選手(31)=大阪府出身=がこの春、ニュージーランドの女子15人制ラグビーリーグ「スーパーラグビー」に日本選手として初めて参戦する。女子ワールドカップ(W杯)で6度の優勝実績があるニュージーランドのリーグ参戦はアジア選手としても初の快挙だ。

日本女子代表チーム主将も務めて国内女子ラグビー界をけん引する一人でもある齋藤選手は「世界のトップクラスの選手が集まる国で、さらにトップの選手がプレーするリーグのチームから声をかけてもらったことは本当に光栄」と話し、世界最高峰リーグのチームに合流する2月を心待ちにしている。

 大阪体育大時代の2011年から日本代表入りしてきた齊藤選手のキャップ数は日本人最多の40。ポジションはFWで、フランカー、ナンバー8といった「バックロー」を担って2度のW杯に出場。15人制日本代表チームのキャプテンも務めてプレー、精神両面で国内女子ラグビー界を引っ張る存在だ。大学卒業後加入したパールズでも主将を務め、21年の15人制女子日本選手権優勝などに貢献してきた。

今年2月以降合流するのはスーパーラグビーの4チームの1つ「チーフスマナワ」。2月に渡航し4月まで現地に滞在する予定だ。ヘッドコーチのクリスタル・カウア氏はかつてパールズのヘッドコーチを務めており、22年にニュージーランドで行われたW杯に向けたテストマッチの視察に訪れたカウア氏から声をかけられたことがきっかけで、2つある外国人枠の1つに選ばれた。

「もともとチームのファン」だった齋藤選手は旧知のカウア氏に誘われた時は「冗談だと思っていた」。現地では、バックローのほか、フロントローのフッカーのカバーに入る可能性が高いという。テストマッチでは「ぼこぼこにやられた」と話し「そこから自分がどれだけ成長しているか知りたい。自分より大きい選手に対して低く、相手より速く動くなどのベーシックなスキルを精度高くやっていきたい」と抱負を語った。

 女子日本代表を多く擁するパールズはこれまでにも所属選手を海外に送り出している。松阪市出身の玉井希絵選手(31)、齋藤選手とともに共同キャプテンを務めたことのある山本実選手(27)=神奈川県出身=はW杯準優勝の英国のチームに完全移籍し、同国最高峰リーグ・プレミア15sでの活躍を目指して経験を積んでいる。

日本の女子ラグビーでは競技人口の増加とともに有力選手の海外挑戦が始まっている。「アジア人も日本人もしっかりできるというところを見せて次の世代につなげていきたい」と話す齊藤選手。パールズの齋藤久ゼネラルマネジャーも「世界の女子ラグビーは進化しておりそこで得られた経験値は日本女子ラグビー全体にとっても良い刺激。パールズとしても海外挑戦する選手たちの背中を押していきたい」と話している。