伊勢新聞

2024年1月11日(木)

▼連合三重の新春旗びらきというと、平成6年のことを思い出す。翌年に知事選挙を控え、現職が引退を表明。共産党を除く各党・団体が何となく一致して統一候補を擁立する“無風選挙”ムードが流れていた時に、与野党が国会で激しく対立し地方で手を組むのでは国民は納得しないと来賓の岡田克也衆院議員があいさつし、県内は一気に与野党対決モードに入った

▼北川正恭知事誕生の一つの背景である。岡田議員はのちのちまで政治的な喜びとして北川県政実現をあげていた。当時の連合三重は、岡田議員がそういう話しを切り出すのにふさわしい舞台と言えたのかもしれない。平成元年の参院選で公示1週間前に無名の井上哲夫(のち四日市市長)を擁立して当選させて以来、10年以上、選挙では向かうところ敵なし。選挙の中心にいた

▼労働組合の組織率が16%強といわれ、先のそごう・西武労組ストライキでは交渉の行方よりスト実施の意義が注目される時代。連合三重への県民の関心度に変化がないか。番条喜芳会長はあいさつで、30年ぶりの高水準になった昨年の賃上げを語り、その効果が物価高でかすむとして賃上げの継続を訴えた

▼大勢の労働者とはやはり温度差を感じさせる。式次第は選挙の推薦候補への支援要請、能登半島地震のカンパ予定などと続いたが、未組織労働者との連携については今回は特に言及、少なくとも強調はされなかった。労働者を背後から支える頼りがいのある存在、という労働組合のもう一つの特徴は今年はどんな姿になっていくのか。