伊勢新聞

2024年1月9日(火)

▼毎年、新聞を開いてはじめてハッピーマンデー制度に伴う今日が祝日かと気づく。制度ができて四半世紀。我ながら柔軟性のなさにあきれる。時は世につれで、いまや成人年齢が18歳以上に引き下げられ、成人の日の記念式典開催さえ、8日に固定されない雲行きというのに

▼前日の七草がゆの風習も、近年あまり新聞に載らなくなった。風習が消えつつあるか、ニュース性が落ちたか。もともとは季節の変わり目に体調を崩すことが多いから、陰暦7日に野山に山野草を採り、陽光とビタミンCを補給する狙いで広がった。新暦になって季節感が合わなくなり、スーパーやデパートで七草のセットを買うようになった

▼さらに美食の時代になり、忘れられていく運命かもしれない。正月に餅を食べ続けて、ここらで胃の負担を軽くしようというのが七草がゆでもあった。一つの習慣の衰退は周辺の習慣の変化でもあろう。一時の荒れる成人式を経て成人の日式典も大きく変わった。新成人自身の運営によってテーマもなかなかユニークで、地に足がついている

▼「自分色に飛べ!」をテーマとした鈴鹿市の式典で、自分たちがつくった紙飛行機を飛ばすなど、忘れられない式典になるのではないか。近鉄駅近くの道路で車いすを動かすのに難渋しているような障害者がいた。押しますかと言おうか、お手伝いしますと言うか。こわばった顔で逡巡(しゅんじゅん)していたら、後から来た若いカップルが話しかけたと思ったら車いすを押し、雑談していた

▼スマートで頼りになると感心したことである。