伊勢新聞

2024年1月8日(月)

▼自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、東京地検特捜部は二階俊博・元党幹事長から事情聴取した。同事件では逮捕見込み者報道も出ているが、それはそれとして二階元幹事長は今年の成人の日の式典への出欠はどうするか

▼裏金疑惑の安倍派議員は、多くが8日に各自治体が開催する式典を欠席するという。同派事務総長の高木毅前国対委員長、塩谷立同派座長、近くでは岐阜県の大野泰正参議院議員。若者が名実ともに大人の世界へ船出する日に、金銭疑惑まみれの自分が門出を祝うのはふさわしくないと判断したとしたら、分からぬではない

▼40年近く前、県議選の候補者降ろし事件で現職県議が逮捕された。立候補予定者の自宅を訪ね、現金を渡した途端にドアが開いて警察が踏み込んできたというからずいぶん間の抜けた話だが、のち議会に出てきて、懇意の記者らに「みなさんにはきちんと説明する」と言った

▼しばらくして本当に記者会見を開いた。テレビ中継もされたが、これを見た先輩議員が「何をしているんだ。入院しなきゃダメじゃないか」とあきれていた。会見などで自己主張しては捜査当局を怒らせ、余計に罪が重くなるというのだ。ひたすらおとなしくして、ほとぼりをさますのが昔も今も、こうした場合の賢明な策らしい

▼二階派も環流していたが、政治資金報告書に記載していたので立件は免れるという。法的には真っ白として出席するか、幹事長の任にあった者として若者に胸を張れないと欠席するか。現代政治家の心底が見られる。