▼NHKの「紅白歌合戦」幕切れの華やかな喧噪から静寂が支配する「ゆく年くる年」の流れが好きで例年視聴しているが、昨年末はうつらうつらして見逃した。終わって出かける初詣も従って遅れ、帰って恒例の寝正月。昼過ぎに起きて雑煮を食べ、新聞を読んでいると家が揺れた。テレビのスイッチを入れるとアナウンサーが切羽詰まった声で避難を呼びかけている
▼地震と津波の襲来を断続的に伝えている。大地震だ。全体像も現地の様子も分からなかったが、煙があがっていた。かなりの被害をもたらしているようだ。いまさらながら「ゆく年くる年」の番組案内をネットで見る。最大の被災地、石川県の隣、震度5に見舞われた富山県高岡市の勝興寺が中継地になっていた
▼加賀前田家ゆかりの寺で日本遺産に認定されている。新型コロナの制限がなくなり、皆が願った街の賑わいが戻りつつあるとする「希望を紡ぐ 明日への歩み」のテーマにふさわしい地として選ばれたのだろう
▼希望に満ちた年を願って手を合わる善男善女が続く中で地震と津波が襲った。一日夜には災害協定を結ぶ岐阜県大垣市に高岡市から可能な限りの物資を要請。大垣市がら物資を積んだトラック3台で2日、職員50人が向かった
▼またも何の前触れもなく震災が牙をむいた。昨年の「防災に関する県民意識調査」は東日本大震災からの「防災意識の薄れ」が令和3年度の35・3%から2年連続で50%を越えた。たつ年年頭として凄じい咆吼だと言うには躊躇するあまりにむごい大震災襲来である。