伊勢新聞

2023年12月29日(金)

▼鈴鹿市の末松則子市長が25日の会見でことしの一字に中勢バイパス全線開通にちなみ「拓」を選び「次の世代にどうやって新しい道を切り開いていくかを考え、努力した一年だった」と語った。その次世代を担う児童の減少で4小学校と1中学校を統合した「義務教育学校」開校を決定したことについては「この再編計画を実行して良かったと思っていただけるように進めていく」

▼全線開通を「長年の夢の道」として、今後の道路整備への抱負を述べた半面、学校統合については不安がにじむ。同時に発表されたことしの市の重大ニュースには、中勢バイパス全線開通はあるが、市初の学校再編計画は、ない

▼中勢バイパスの計画から開通まで41年間、県内の道路事情、車事情、運輸環境などは激変の中にある。23号の渋滞緩和という効果もいつまでも当時のままではない。統合される学校区は中勢バイパスに近く、かつて違法投棄のごみ処分場があった。PCBドラム缶が大量に埋められ、近くの田んぼの水は黄色く濁り、稲は育たなかった

▼自治会長の影響力が強大化し、市はその鼻毛を読み、手足となって動く職員もいて、多数の職員がその職員に扱いを委ね、意向を受け入れた。見て見ぬふりをし、行政から取り残される地域にも見えたが、少子化の波をもろに受けたのではないか

▼県第二の市としていち早く学校統廃合に追い込まれたことに末松市長は「今までの手続きが不十分だったとは思っていない」。「今まで」とはいつからか。市政に継続して責任を持つ市長が、教育長と同じでいいはずはない。