三重県企業庁発注の水道設備工事の入札を巡る贈収賄事件で、県は25日、県伊勢農林水産事務所農地海岸保全管理課長の酒德和也被告(57)=受託収賄罪で起訴=を懲戒免職処分とした。また、酒德被告と県企業庁北勢水道事務所元参事の小野弘春被告(60)=同罪で起訴=が、技術指導への見返りとして現金を受け取ったことを認めていることを明らかにした。
県によると、小野被告は昨年4月、新陽工業(四日市市)の社長だった新井政智被告(46)=贈賄罪で起訴=から現金200万円を受け取った。うち100万円を、技術指導に協力した酒德被告に渡した。
さらに、酒德被告が他の入札でも約10回にわたって同社に技術指導をしていたことが、県の聞き取りで判明。令和2年に小野被告から誘われたことがきっかけといい、1回につき数万円を受け取っていた。
酒德被告は県の聞き取りに「多大な迷惑をかけて反省している。罪になる認識がなかった」などと説明。動機については「自分の実力を試したかった。(現金は)老後の備えにしたかった」と話している。
一方、企業庁は小野被告が既に退職していることから処分は見送りつつ「懲戒免職に相当する行為」と判断。関係条例に基づき、退職金の全額を返還するよう命じる方向で検討していることを明らかにした。
小野被告は企業庁の聞き取りに対し、動機について「助言や指導ができるようになれば、将来役に立つと考えた」と説明。「在職中にお金をもらわければ罪にはならないと思っていた」と話したという。
酒德、小野両被告は今月6日に起訴され、8日に保釈された。県と企業庁は両被告に対し、複数回にわたって聞き取りを実施。県は21日に懲戒審査委員会を開いて酒德被告の処分を決めた。
起訴状などによると、小野、酒德両被告は令和3年7月、北勢水道事務所発注工事の一般競争入札で、技術資料の作成や助言への謝礼として、新井被告から現金200万円を受け取る約束をしたとされる。