【鈴鹿】国道23号中勢バイパスの鈴鹿(安塚)工区(延長2・8キロ)が、11月19日に開通。同工区の開通により、中勢バイパスは約40年かけて全線開通した。
新たに開通した同工区は、中勢バイパスの北端にあたる同市北玉垣町の国道23号と同市野町の交差点をつなぐ。平成6年度に事業化し、用地買収を経て同24年度に着工した。
中勢バイパスは鈴鹿市北玉垣町と松阪市小津町をつなぐ延長33・8キロ。昭和58年度にルートなどを定めた計画を決定し、同59年度から各工区を順次事業化した。総事業費は2050億円。
全線開通の効果として、国道23号の渋滞緩和や物流の円滑化、災害対応力の強化などを見込む。
開通に先立ち10月22日、同工区本線上で「中勢バイパス全線開通記念プレイベント」があり、訪れた約1万2千人に一足早く新しい道路を公開。来場者らはフリーウオーキングで工区内の約1・1キロを自由に歩いた。目玉となるレーシングバイクのデモ走行では、レジェンドライダーの多田喜代一選手(69)が「いつものレースより緊張しているが晴れの舞台を全うして走る」と宣言し、二輪マシンで約360メートルを2往復した。
来場者の1人、同市桜島町5丁目の会社員西尾政紀さん(50)は「開通を楽しみにしていた。通勤で利用するので混雑が解消すれば」と期待を込めた。
11月19日、同市南玉垣町の鈴鹿医療科学大学白子キャンパスで開通式典が、同市北玉垣町の同工区本線上でもセレモニーがあり、関係者ら約140人が道路の完成を祝った。
式典では主催者を代表し、末松則子鈴鹿市長が「安全で快適な道路整備を図るため、引き続き全力で取り組む」とあいさつ。一見勝之知事は「県民とともに開通を心から喜んでいる」と祝辞を述べた。
セレモニーでは、竹上真人松阪市長が「中勢バイパスは命を守る道。北と南をつなぐ大幹線が開通した」と式辞を述べた後、代表者22人によるテープカットやくす玉割りをして祝い、市内企業の「働く車」を中心とした車両約40台が通り初めのパレードをした。
開通から約1カ月が経過した12月14日の定例記者会見で、末松市長は「物流道路と生活道路が区別され、順調にいっている」と現状を評価。一方で、暫定2車線の影響で時間帯による渋滞が発生していることについては、今後の課題として「4車線化と交差点改良を関係機関に要望していく」と述べた。
翌15日には、三重河川国道事務所が同工区について、開通後の交通状況と開通効果をまとめた。
発表によると、同工区の交通量は12時間あたり約1万1600台。開通前と比較して、並行する国道23号現道の交通量は12時間あたり約2万9300台で約1割減少したほか、周辺道路の市道末広東稲生線は約3割減、県道上野鈴鹿線は約2割減となり、中勢バイパスへ交通が転換された。
これにより国道23号現道の走行速度が向上。さらに、南玉垣町南交差点の最大渋滞長が約430メートル、末広町東交差点の最大渋滞長が約210メートルなど、いずれも減少し、周辺道路の渋滞が緩和したという。
今後は中勢バイパスと接続する「鈴鹿四日市道路」の早期整備に期待がかかる。