近畿日本ツーリスト津支店(三重県津市)が県から受託した事業で過大請求をした問題に関連し、支店が令和元年度以降に受託した3つの事業で事務作業に関する13件の不備があったことが19日、県への取材で分かった。契約で義務付けられた関係書類の提出がなかったというが、県は「事業への影響はなかった」としている。
県によると、支店による事務作業の不備が判明したのは、いずれも新型コロナウイルスの感染拡大に伴う事業。うち2事業については観光部が発注し、残る1事業は医療保健部が発注していた。
このうち、観光部が発注した観光事業者に支援金を交付する事業と宿泊事業者の感染防止対策に補助金を出す事業では、再委託先に個人情報を扱わせることの承諾願いなど、8件の書類を県に提出しなかった。
また、医療保健部が発注した年末年始に新型コロナウイルスの臨時検査拠点を設ける事業では、ブースの設営などで業務を再委託するにあたって必要な申請書など、5件の書類を提出していなかったという。
観光部と医療保健部は支店に不備を伝えた。支店からは「契約の内容を十分に確認していなかった。(書類を提出しなかったことによる)個人情報の漏えいはなかった」という趣旨の返答があったという。
一方、県側も近ツーの過大請求を巡る問題を受けて調査するまで、これらの不備を把握していなかった。観光部と医療保健部は「確認が不十分だった。今後は十分なチェックに努める」としている。
問題を巡っては、支店が観光事業者を支援する事業で約1130万円を過大に請求したことが今年10月に判明。県は議員らの指摘を受け、他の事業も含めて支店に発注した業務に不備がないかを調べていた。