伊勢新聞

リニア「駅位置決めて提案すべき」 三重県内3候補で委員指摘 県議会常任委

【リニア基本戦略の中間案について説明を受ける総務地域連携交通常任委員会=県議会議事堂で】

三重県議会は12日、総務地域連携交通、環境生活農林水産、教育警察の各常任委員会を開いた。リニア中央新幹線の県内駅について、県が亀山市内の3候補地を絞り込まずにJR東海に提案したことに対し、委員が「本来は県が位置を決めて提案すべき」と指摘。県当局は各案のメリットとデメリットをJR東海に示したと説明。「最終的にはJR東海が駅位置を決める」として理解を求めた。

県、年度内にも「リニア基本戦略」策定

<総務地域連携交通=喜田健児委員長(8人)>
地域連携・交通部は「リニア基本戦略」(仮称)の中間案を示した。リニア中央新幹線の県内駅を拠点として観光やビジネスの交流を広げ、リニア開通の効果を県全域に波及させることを目指す姿に掲げた。

県によると、中間案は県幹部らでつくる「リニア推進本部会議」での議論を元に策定。来月中にもパブリックコメント(意見公募)を実施し、市町や経済界などの意見を踏まえて年度内にも戦略を策定する。

一方、服部富男委員(自民党、6期、三重郡選出)は「本来は県が駅位置の考えをしっかりとまとめて話をすべき」と主張。中間案にも「駅位置が決まらないのに周辺のことを考えている」と苦言を呈した。

県当局は「駅位置は最終的にJR東海が決めるが、県も要望しながら積極的に関わる。基本戦略は県全域に波及させるための大きな方向性。詳細が決まれば、さらに具体的な計画を策定したい」と説明した。

文化に親しめる環境づくり明記 文化振興計画の素案

<環境生活農林水産=山崎博委員長(8人)>
環境生活部は、文化芸術基本法に基づく「文化振興計画」(仮称)の素案を示した。基本目標には「文化の力で心豊かに活力ある三重を実現」を掲げ、観光や地域づくりなどと文化の連携を図ると定めた。

県によると、文化振興条例に規定する基本的な計画として位置付ける。対象期間は来年度からの3年間。パブリックコメント(意見公募)や有識者の審議などを経て、年度内にも計画を策定する。

素案は基本方針として、文化に親しめる環境づくりや文化を継承する人材の育成などを進めると明記。歴史的資産の保存や活用、文化を生かした地域の活性化と魅力の発信などにも取り組むとしている。

県民の文化に対する関心と理解の醸成▽子どもたちの文化活動の充実▽文化と観光などとの連携―を重点施策に掲げた。県立の文化施設を中核とした「文化観光」を県内全域で展開するとしている。

刑法犯認知件数30・3%増8187件 検挙率2年連続低下

<教育警察=山内道明委員長(8人)>
県警は今年1月から10月末までの刑法犯認知件数を報告した。認知件数は前年同期比30・3%(1902件)増の8187件に上る一方で、同時期の検挙率は2年連続で前年同期を下回った。

県警によると、認知件数のうち、殺人や強盗などの重要犯罪は前年同期比12件増の96件。自動車盗などの重要窃盗犯は408件増の1077件で、うち侵入窃盗が970件を占める。

同時期に容疑者の逮捕などに至った検挙件数も502件増の2923件で5年ぶりに増加したが、認知件数に占める検挙の割合を示す検挙率は2・8ポイント減の35・7%にとどまっている。

県警はコロナ禍に入ってから刑法犯認知件数が8割ほどにとどまっていたことを踏まえて「今年はコロナ禍前の水準に戻り、厳しい状況にある」と説明。早期の摘発に取り組む考えを示した。