▼阪神・淡路大震災(平成7年)から4、5年後の県幹部との懇親会で、防災局長が「風化の早さには驚くばかり」と言った。同震災の強度が県内にも伝わり、緊急持ち出し袋が普及。建物の耐震強度基準も強化され、公共施設を先頭に耐震建築が進んでいた
▼にもかかわらず、風化は担当者を悩ますほどだった。「このスピードをいかに遅らすかがわれわれの課題」と同局長。事情は今もそう変わらないようだ。本年度の「防災に関する県民意識調査」の結果は回答者の約半数が「東日本大震災から時間の経過と共に薄れつつある」。前年度の51・5%から50・2%へ下げたのは課題への取り組みの成果ともいえようが、2年前が35・3%だったことに比べると、急落は否めない
▼今年の防災訓練は、いささかピントがずれていた気はする。県の施設は充実させたが、県民にアピールする最大の機会の総合訓練は、国の担当官の都合がつかないからと、防災の日からかなり離れた日程だった。12月7日は県の「地震の日」に設定されているが、この日にちなんで地震対策を改めて考えてみようという企画も特に見られなかった
▼報道関係で言われるのは「8月ジャーナリズム」である。8月15日を軸に、戦争と平和関連の報道が大量に出回る。スケジュール報道などとやゆされたりもするが、過去を振り返り、未来を考えるツールになっていることは間違いない
▼県は風化対策としてショッピングセンターで来客へ啓発しているという。「まずは手軽な活動から参加してもらう」のだという。手軽なのは県民、それとも県?