伊勢新聞

2023年12月8日(金)

▼三重県が巨額のカラ出張問題で揺れた平成8、9年。決算的にはそれ以前の年度が修正対象になるのだが、すでに承認済みであり、修正に2年以上費やした。実務的には県が修正決算を議会に提出し、それを再び承認するのだが、前例がない。どういう手続きを踏めばいいか

▼それ以上に議会を悩ませたのは、審議機関である議会が、いとも簡単に承認してしまっている後ろめたさである。カラ出張、すなわち使途の大半が職員らの飲み食いに使われ、名目だけ「出張費」として計上されているのを、少しも疑うことなく毎年、承認してきている。しかも、その使途の中には、議会関係も含まれる。使命を果たしてきたかが問われかねないのである。どう県民に説明すればいいかを考えるのに2年を費やした

▼県議会は6日、提出された一般会計補正予算などの記述の誤りの訂正を、県の報告のまま賛成多数で許可した。決算として承認したわけでないから議会としての責任はほとんどないようなものとはいえ、議案修正は、議会が見破ることもなく、職員の“自作自演”でお手軽に処理された

▼庁内で問題になっている事務処理ミスは、庁内だけでなく、対議会でもひんぱんに発生することに、議会はどう思っているか。かつて議案の聞き取りで県のミスや隠し事を見破るベテラン議員がいた。不自然に思った議案はとりあえず反対するのだという

▼県は理解を得ようと何度も説明にくる。その中身や、その時の態度でピンとくるものがあるという。恐れられ、警戒されていたが、いまの議員は愛され、好かれているに違いない。