三重県議会は6日、荊原広樹(新政みえ、1期、名張市選出)、服部富男(自民党、6期、三重郡)、喜田健児(新政みえ、2期、松阪市)の3議員が一般質問した。県教委は合格者が定員に満たない県立高が実施する再募集の対象を、どの高校にも合格していない生徒に限る方向で検討していることを明らかにした。現状では再募集への受検を可能としている私立高の合格者を対象外とすることで、公私ともに合格していない生徒の進学先を確保する狙い。早ければ令和7年度選抜から適用する。服部議員への答弁。
「三重テラスin大阪」成果は
荊原 広樹議員(新政みえ)
大阪市内に期間限定で設けた情報発信拠点「三重テラスin大阪」の成果を尋ねた。県当局は「詳細な検証は今後」としつつ、来館した海外からの観光客が行き先を県内に変更した例などを紹介した。
【バス】
荊原議員 バスは地域にとって必要不可欠な交通手段だが、地域に路線を設けてもらうことは難しい。運行事業者は人手不足や燃料高騰などの影響で厳しい状況。地域の移動手段確保に向けた県の考えは。市町との連携は。
清水地域連携・交通部長
市町や国、バス事業者で構成するワーキンググループを県内の6地域に設け、乗り継ぎ環境の改善などを検討している。運行事業者に対する支援の継続を国に要望している。住民の意見を聞いて課題解決への検討も進めている。
【万博】
荊原議員 大阪・関西万博の開催まで500日を切ったが、最近の報道を見ると機運が下がっているように感じる。万博に向けて県内の魅力を発信するため、県は大阪の道頓堀に期間限定で「三重テラスin大阪」を設けたが、成果は。
小見山雇用経済部長 詳細な検証は今後だが、来館した英国からの観光客に観光情報を案内したところ、翌日の行き先を県内に変更してもらった。来県歴のある関西の人にも県内旅行に関心を持ってもらった。来年1月には梅田での出展も予定している。
北勢バイパス早期整備を
服部 富男議員(自民党)
国道1号などの渋滞解消に向け、川越町と四日市市をつなぐ北勢バイパスの早期整備を要請。一見知事は「必要性を身にしみて感じる」と述べ、斉藤鉄夫国交相に早期整備を要望したと報告した。
【再募集】
服部議員 合格者が定員に満たない県立高校は3月下旬に再募集をするが、私立高校は急な対応に苦慮している。再募集の対象についても平等性の観点から課題がある。再募集は進路を保障する最後の機会だったはず。検討状況は。
福永教育長 私立の合格者が再募集にも合格する一方、どこにも合格していない生徒が再募集にも合格せず、全日制高校に進学できない事例がある。再募集はどの高校にも合格していない生徒を対象とすることを原則に見直しを進め、年度内に結論をまとめる。
【バイパス】
服部議員 北勢バイパスは国道1号などの渋滞解消に不可欠。国家プロジェクトなので県は見守る立場だが、知事が先頭に立って早期整備を国に強く申し入れてほしい。土地などで苦慮しているとは思うが、前に進めてほしい。
知事 11月には斉藤国交大臣に北勢バイパスの重要性を訴えた。なかなか国交大臣とは面談できない。G7交通大臣会合の県内開催に感謝をしてもらっているので、三重が要望すると優先的に入れてくれる。あらゆる機会を捉え、全力で要望したい。
障害者施設の待機者解消を
喜田 健児議員(新政みえ)
障害者施設の待機者を解消するため、施設などのインフラ整備を進めるよう要請。県当局は346人の待機者がいることを明らかにし、グループホームや通所施設の整備に努める考えを示した。
【障害福祉】
喜田議員 「障害福祉事業はインフラ整備」という認識がないことが、8050問題や親亡き後の問題を招いていると言っても過言ではない。障害者入所施設の待機者数は。親が亡くなった後の問題を解消するための取り組みは。
中村子ども・福祉部長 県内の待機者は11月時点で346人。親の高齢化に伴い、少しずつ増えている。親亡き後も施設ありきでなく、自ら選んだ所で安心して暮らせるように地域で支える体制が重要。グループホームや通所施設の整備を進めている。
【ふるさと納税】
喜田議員 年間で1兆円に迫る個人版ふるさと納税は「住民税の争奪戦」と言われ、課題が多い。一方で企業版ふるさと納税は比較的、問題が少ないと言われる。最大で寄付額の9割が軽減される仕組みだが、その現状は。
後田政策企画部長 企業版ふるさと納税の制度が始まった平成28年度当初から寄付がある。令和4年度は13件で総額950万円の寄付があった。奨学金の返還支援や子ども積立基金などに活用している。今後も企業の希望を聞きながら取り組む。