獣害対策強化へ 知事、関係部局集めた会議指示 三重県議会一般質問

【右から、川口円議員、中嶋年規議員、伊藤雅慶議員、石田成生議員】

三重県議会は4日、川口円(新政みえ、2期、津市選出)、中嶋年規(自民党、6期、志摩市)、伊藤雅慶(新政みえ、1期、三重郡)、石田成生(自民党、4期、四日市市)の4議員が一般質問した。一見勝之知事は獣害対策を強化するため、関係部局を集めた会議を開くよう野呂幸利危機管理統括監に指示したことを明らかにした。獣害対策は農林水産部が担ってきたが、他部局の知見を反映させることで対策の効果を高めたい考え。全国で出没が相次ぐクマへの対応も検討する方針とみられる。伊藤議員への答弁。

悪質ホストクラブ対応を

川口 円議員(新政みえ)
取り締まりを受けた悪質なホストクラブが県内に移転する可能性があると指摘し、対応を求めた。県警は「県内進出」の可能性を踏まえ、店舗への立ち入りなどで実態の把握に努める考えを示した。

【避難情報】
川口議員 8月の台風7号では、避難情報の発出に反省が必要。大雨の最中や夜間など、本当に大丈夫なのかと思うタイミングで高齢者等避難を出した自治体もあった。県の助言などが求められる。県民が不安を感じない発出を。

山本防災対策部長 市町には雨量や河川の情報を提供している。河川の氾濫や土砂災害の危険性が高まっている場合には、必要な助言もしている。市町の職員を対象にした研修で台風7号の対応を取り上げるなどし、適時適切な発令に向けて取り組む。

【悪質店舗】
川口議員 高額な料金を請求して売春などをさせる悪質なホストクラブへの取り締まりが全国で強化されている。これにより、都会で閉店した悪質なホストクラブが県内に流れてくる可能性がある。県警の取り組みは。

難波県警本部長 問題を注視している。悪質なホストクラブが県内に進出する可能性も踏まえ、相談の受理や店舗への立ち入りなどで実態把握に努める。背後で暴力団や匿名・流動型犯罪グループが不当に利益を得ている可能性も視野に取り締まる。

宿泊税で観光地づくりを

中嶋 年規議員(自民党) 持続的な観光地を整備するため、宿泊者に課税する「宿泊税」の導入を提案。一見知事は財源の確保に向けた「選択肢の一つ」との認識を示しつつ「関係者の意見を丁寧に聞きながら勘案する」と述べるにとどめた。

【宿泊税】
中嶋議員 宿泊税は3都府県と6市町が導入し、3道県が検討中。観光客を受け入れる環境の充実や効果的な情報発信、観光ボランティアの育成などに充てられている。持続的な観光地をつくる財源として、県も導入を検討しては。

知事 外国人観光客を受け入れるためには、観光地の表示などを翻訳しなければならない。宿泊施設や交通インフラの整備、オーバーツーリズムへの対応も大事。宿泊税は一つの選択肢としてはあり得るが、関係者の意見を丁寧に聞きながら勘案する。

【公共事業】
中嶋議員 建設業者は時間外労働の上限規制「2024年問題」の対応や物価高騰、労働者不足などで切迫している。国への要望や建設県債の活用により、本年度を上回る公共事業の予算を来年度当初予算で確保できないか。

知事 公共事業が地域にとって重要なことは論をまたない。県だけでなく、議員や市町にも国に要望してもらっている。県全体で公共事業が絶対に必要だという意思を伝えていくことが大事。まだ確定していないが、かなりの額が通知される見込み。

「多様な祭り」国内外に発信を

伊藤 雅慶議員(新政みえ)
「県内で継承されている多様な祭りを国内外に発信すべき」とし、県内の祭りが一堂に会するイベントの開催を提案。県当局は2年後に開かれる大阪・関西万博で祭りの魅力発信に努める考えを示した。

【クマ】
伊藤議員 クマの出没が大きく報道されている。県内では本年度の出没が37件に上り、記録がある平成18年度以降で最多。人家の近くまでクマの足跡があるとの報告もある。痛ましい事故がないよう対応を求める。

中野農林水産部長 クマの出没は例年よりも速いペースで増加し、人身事故も発生している。クマに出会わないための方法をホームページで周知している。クマが目撃された際は市町と連携し、防災無線などを活用して住民に強く呼びかけている。

【まつり博】
伊藤議員 地域の歴史や文化、人々の営みを感じることができる大小さまざまな県内の祭りを国内外に発信すべき。県内では29年前、まつり博(世界祝祭博覧会)が開かれたが、祭りが一堂に会するイベントを開いては。

増田観光部長 県内には伝統的で特徴的な祭りがたくさんある。本年度は観光資源としての可能性を検証し、モデル的な旅行商品を造成した。祭りを動画で伝えるサイトも作成する。大阪・関西万博などで祭りの魅力を発信し、観光誘客につなげたい。

県内での就職促すべき

石田 成生議員(自民党)
人口減対策として、高校卒業後は大学に進学せず県内で就職することを促すべきだと主張。福永教育長は「子どもの可能性を狭める教育はできない」とし、生徒が自ら進路を選べるように取り組むと説明した。

【ピロリ菌】
石田議員 胃がんの約8割がピロリ菌に起因すると言われる。除菌の費用は安価で、胃がん対策の費用対効果としては高い。早い時期に除菌すれば、親から子への連鎖も無くなる。県が除菌の費用を補助する制度を設けるべき。

小倉医療保健部長 除菌による胃がんの予防効果には、十分な科学的根拠が示されていない。団体によって評価も分かれ、厚生労働省も「運用上の課題について整理する」との表現にとどめている。国の知見や先行する自治体の状況を注視したい。

【人口減】
石田議員 この50年間で北勢に新設した高校は普通科ばかり。なぜ職業高校を新設しなかったのか。大学を選択せず、地元企業に採用してもらう方針を県が打ち出しては。進学のお金がかからないし、県外への転出も防げる。

福永教育長 県内の高校卒業生は進学率が低く、地元での就職率が高い。子どもたちの可能性を狭める教育はできないが、地元に生き、地元に貢献することが重要な選択肢の一つだと伝えることが大切。生徒が自らの判断で進路を選択できるよう取り組む。