【津】津文化協会と「半泥子と千歳山の文化遺産を継承する会」は2日、三重県津市一身田上津部田の県総合文化センター小ホールで講演会「半泥子の千歳山荘と大山崎聴竹居(ちょうちくきょ)~ワンダーランドを受け継ぎ、活(い)かす~」を開いた。
川喜田半泥子(1878―1963年)は百五銀行元頭取で陶芸家。津市垂水の千歳山に洋館と和館の山荘を設け、作陶に打ち込んだ。山荘は解体され、部材が県外で保存されている。同会はまちづくりに活用しようと千歳山荘の復元整備を目指している。
講演会は半泥子と千歳山を周知するため同センター第1ギャラリーで6日まで開いている展覧会「半泥子のワンダーランド千歳山荘」に伴い開催した。展覧会は7回目となる。
三重大学名誉教授の菅原洋一氏が「半泥子の愛した千歳山」と題して講演し、「千歳山は平成20年に津市に寄贈された。津市教育委員会の調査では復元は十分可能で高い文化財価値がある」と話し、「半泥子は津市民が思う以上に全国的にファンがいる」と建物の復活を呼びかけた。
千歳山荘について「伊勢の海と城下町が見える。旧宅は松菱がある所。大正4年に移り、作陶を始め、すごいスピードで評価される人になる。素質があり、好きなことで精進した」「慕われて、いろんな人が遊びに来て、文化サロンができる。半泥子は訪問者をお風呂に入れて、浴衣にさせて、案内するのが楽しみだった」と述べた。
また聴竹居倶楽部の松隈章代表理事が京都府大山崎町に建築家の藤井厚二が建てた木造モダニズム建築の傑作「聴竹居」を紹介。国の重要文化財に指定された聴竹居の保存と活用を通じ、地域に貢献する同倶楽部の活動を語った。