伊勢新聞

白い買い物カゴで手助け促す スーパー「ぎゅーとら」導入、障害者や高齢者サポート 三重

【ヘルプマークシールを貼付した白い買い物カゴ「てったおカゴ」を手にする清水社長(右から2人目)や野口事務局長(左端)ら=伊勢市役所で】

【伊勢】障害のある人や高齢者が、買い物時に支援や配慮を受けやすくしようと、三重県内でスーパーを展開する「ぎゅーとら」(本社・伊勢市)は1日、白い買い物カゴに「ヘルプマーク」シールを貼付した「てったおカゴ」を全店舗に導入した。援助を必要とする人に白いかごを使ってもらい、従業員や周りの買い物客に、手助けや助け合いを促す。

「てったおカゴ」は、視覚障害者が使う白杖(はくじょう)にちなんだ白色のかごに、外見から分かりづらい障害や病気がある人が身につけて周囲に示す「ヘルプマーク」のシールを貼付した買い物かご。伊勢の方言で「手伝う」を意味する「てったう」にちなんで名付けた。

県内全28店舗に3、4個ずつ配置し、必要とする人にサービスカウンターで貸し出す。取り組みは県内の小売業で初、全国的にもおそらく初めての試みだという。

導入のきっかけは、NPO法人伊勢志摩バリアフリーツアーセンター(鳥羽市)の野口あゆみ事務局長からの提案だった。野口事務局長は、視覚障害のある知人から買い物時の困りごとを聞き、「白杖を持ちながら買い物をするのは困難。何か目印になるものがあればサポートしやすい」と、同社に提案。

7―11月に市内店舗でモニターによる白いかごを使った実証実験を実施して当事者らの意見を聞き、市の協力も得ながら改善して、全店舗で導入することになった。商品名や表示の文字が見えない、棚から商品が取りづらい、レジでの支払いが困難など、支援が必要な人に利用してもらい、周囲が手助けしやすくする。

モニターに参加した市内の女性は「お願いする前に気付いてもらい、声をかけてもらえるのがうれしい」と話す。

同社は、各店で「てったおカゴ」の周知とともに、ヘルプマークへの理解と啓発にも取り組むという。清水秀隆社長は「思いやりや優しい気持ちが、伊勢から広まっていけば」と話した。