伊勢新聞

2023年11月29日(水)

▼「玉虫色の決着」とはどんなことかと聞かれたら事例に事欠かないが、例えば市民からの配属転換を求める声が寄せられている教頭が勤務する津市立の小学校で、本人を据え置きして二人教頭制にした県教委の人事がそれに相当するのではないか

▼まずもって不思議な人事である。本人は来年3月末までの療養が必要とする診断書を提出しているようで、10月11日から出勤していない。最大五カ月間強、本年度いっぱい休むという届けなのだろう。県の場合なら、本人を閑職に移すなどして後任を発令するか、上司が兼務する。本人をそのまま二人体制にするなど聞いたことがないが、県教委にとっては珍しくもないことなのか

▼病欠教頭は、女性教師を含め少なくとも八人の女性と不倫関係にあったとされ、市民から適格性を問われた。が、今回の異例とも言える人事はそのせいではなく「あくまで病気休暇取得を踏まえ」と県教委教職員課。四年前、鈴鹿市PTA連合会会長がスクールセクハラの会合で、子どもに抱きついた教員が不問のまま退職した事例を暴露した

▼保護者は抗議したが、近く退職することと、子どもの将来のためと市教委に説き伏せられたという。人質司法ならぬ人質教育だが、八人の女性、特に教師は将来を説かれ、思い巡らす事もあったろう。教員不足の今は知らぬが、昔は「教師を続けたいのなら」というのが教師を従わせる決まり文句だった

▼病欠の診断書は慣例で一カ月、特別なケースで三カ月。五カ月強を受け付けるとは何があったのか。県教委は病名や病状を明らかにしていない。