▼全国の交通事故死者数が減少する中で県が一人、上昇していたころ、赴任した県警本部長が複数県で勤務した経験を踏まえ「三重は交通マナーが悪い」と言ったことがある。黄信号で何台も交差点に浸入し、右折の矢印が点灯してもお構いなしに左折していく。なるほどと思ったが、最近は少し見方が変わった
▼きっかけは、横断歩道前の一時停止である。日本自動車連盟(JAF)の令和元年度の調べで全国最低だったが、年々向上し昨年は全国平均を上回った。JAFの調査が衝撃的で、県警が追調査して裏付けるなどした結果、今では実感的にはほとんどの車が一時停止する。啓発の仕方ということも、ルール順守を大きく左右する気がしているのである
▼県立久居農林高文化祭でさまざまなデザインの自転車用ヘルメットを展示し、人気投票を実施したという企画に我が意を得た。努力義務となった自転車のヘルメット着用が県立高生は4・6%。福永和伸教育長は公共交通機関との併用通学者が多いため、持ち運びに問題があると指摘したが、ではどうすれば着用率をあげることができるかが問われる
▼先日、髪の長い若い女性のヘルメット姿を初めて見たが、シャープなデザインだった。ヘルメット展示を企画した久居農林高自転車競技部は「白くて重いイメージだが、実際に見ればファッションに合うと気付いてもらえる」。何が着用の動機になるか語ってもいる
▼毎日のように近鉄駅から近くの大学に通う若い男女の自転車群とすれ違うが、ヘルメットの着用者には一人もおめにかからない。啓発は、目下のところ高校生までにとどまっているようだ。