▼入札で用いた総合評価制度について「是正しなければならない部分はない」と22日の記者会見で言い切った一見勝之知事が2日後の臨時庁議では、公共工事の発注に関する職員の倫理を定めたガイドラインを策定するよう指示した。ちょっと言い過ぎたと思ったか
▼なにしろ、事件の全容が明らかになったとは言いがたい。逮捕された県職員とOBの諾否も、見返りとされる金銭授受の“約束”も、詳細は警察の今後の取り調べを見守るしかない。「お金が絡むことはしたらあかん。アドバイスも公平にせなあかん」という知事の見識はその通りだが、総合評価制度の取り扱いに踏み込まねば、倫理ガイドラインも、絵に描いた餅になる
▼知事はまた臨時庁議で、鈴鹿市の男児置き去り事件について、児童相談所による当時の対応を3週間以内に検証するよう指示した。記者会見でも検証は明言したが、3週間以内と時間を切った。男児の抵抗で一時保護が難しかったという児相の言い分に対し「一つ間違えば、命を失う可能性があったのではないかと危惧している」と真っ向から疑義を示した
▼いずれも性急と言ってもいい対応の変化である。頻発する事務処理ミスや法令の軽率な処理、盗撮などの事件も発生して、知事も、職員はみんな知事の意向を踏まえて職務を遂行している、などと構えてはいられなくなったのではないか
▼前知事も、相次ぐ不祥事に「(職員に)なめられているのではないか」と語っていた。若かったことがそう言わせたのだろうが、一見知事はどうか。心穏やかならずは、確かかもしれない。