今月7日、第96回選抜高校野球大会(来年3月・阪神甲子園球場)21世紀枠の三重県高野連推薦校として桑名工の選出が発表された。1961年設立の県立の工業高校で、春夏通じて甲子園出場の経験はなく、今年秋の県大会はベスト8。部活動に打ち込む一方、企業実習や資格取得に励む姿勢が評価された。硬式野球部員らは初の選出に驚きながら「今までやってきたことは間違っていなかった」と喜んでいる。
2年連続の初戦敗退で涙を飲んだ今年夏の県大会の後、「甲子園優勝」を新たな目標に掲げて再出発した。2年生の一色勇伸主将は「目標は高く掲げないと甲子園にも出られない。皆で話し合って決めた」とその意図を説明する。
捕手と投手、中軸打者も務める一色主将を中心としたまとまりの良さが新チームの持ち味だ。県内3地区の代表26チームで争われた秋の県大会は、夏の県大会優勝のいなべ総合学園に次ぐ北地区2位の座を確保。地区予選では甲子園出場経験校の菰野を1点差で下す粘り強さも光った。
文科省などの長期インターンシップ「日本版デュアルシステム」に県内でいち早く、2004年から取り組むなど職業教育も盛ん。卒業後の進路も考え入学した部員は多い。秋の県大会1回戦(伊勢戦)で1安打1打点の2年生、濱井悠剛内野手は危険物取扱者など「取れる資格は全部取りたい」と資格勉強にも力を入れる。
センバツ出場までは12月上旬の地区推薦校選考会、来年1月の最終選考会の2つの関門をクリアしなければならないが、一色主将は「緊張もあるが、皆平常心で練習している」。2年生の水野豪樹外野手は秋の県大会準々決勝で敗れた宇治山田商が東海大会で4強入りしたことが「良い刺激になった」と語り「今まで以上に練習を頑張って目標をかなえたい」と話している。