伊勢新聞

2023年11月24日(金)

▼三重県企業庁発注の水道設備工事を巡る贈収賄事件を受けて、一見勝之知事は22日の県議会本会議の提案説明で陳謝し、その後の記者会見で具体的な問題点について、県職員が現金を受け取る約束をしたことをあげ「おかしい」と語った。同感。県職員がどんな形であれ、特定の業者に有利な言動をしてはなるまい

▼ではOBはどうか。事件のもっとも分かりにくいのは、県を離れたOBが業者に助言・指導できるのか、できないのかだが、OBについて明確な言及がなかったのは、知事も県警の判断を待つ姿勢かもしれない。場合によっては、退職職員に対する県の再就職紹介も見直しを迫られることになろう

▼事件の核心となった総合評価制度について「是正しなければならない部分はない」という認識にも疑問はある。贈賄側の業者は数年で急成長したとされる。その源泉が、総合評価方式の一般競争入札で、応札金額は高めでも、技術力評価が満点で他者を引き離し、落札していた

▼企業庁によると、業者が受注した100万円を超える公共工事は令和元年度以降25件。うち総合評価方式は13件で、残りは随意契約などだが、金額的には総合評価方式が9割を占める

▼指名競争入札の場合、落札金額が予定価格の95%以上ならまず談合だと言われた。技術評価が満点なことに問題なしと言えるのかどうか。かつて談合華やかなりしころ、OB同士の情報網に加え、OBの現役に対する情報収集力が威力を発揮した。OBの訪問攻勢に悲鳴をあげる現役の投書も届いていた

▼構図は依然、変わらぬことを実証してもいる。