11歳息子を置き去り、母親逮捕、保護責任者遺棄の疑い 鈴鹿の自宅アパートに3日間

【記者会見で、児相の対応を説明する近課長=県庁で】

小学生の息子(11)を鈴鹿市内のアパートに置き去りにしたとして、三重県警人身安全対策課と鈴鹿署は21日、保護責任者遺棄の疑いで、三重郡に住むパート従業員の女(38)を逮捕した。一方、児童相談所は事件の約1カ月前から女のネグレクト(育児放棄)を把握していたが、息子が拒否したことから一時保護をしていなかった。

逮捕容疑は先月15日ごろから18日午前0時ごろまでの約3日間、鈴鹿市の自宅アパートに帰宅せず、小学生の男児を1人で置き去りにした疑い。「間違いない」と話し、容疑を認めている。

県警によると、県外の親族が先月17日夜、鈴鹿署に「母親がアパートに帰っていない」と通報。駆け付けた署員がアパートに1人でいる男児を見つけて保護した。男児の健康状態に問題はない。

男児は9月中旬ごろから1人で暮らしていた。女から数日に1回、現金やカップ麺などの食料品を受け取っていた。この間、女は男児のきょうだいと三重郡の知人男性宅で生活していたという。

県によると、鈴鹿児童相談所は9月7日、女から子育てに関する相談を受けた。その後も鈴鹿署からネグレクトの疑いがあると通告を受け、9月中旬に一時保護の必要性があると判断していた。

一方、児相は当初、男児に強く拒否されたことを理由に一時保護をしていなかった。10月18日、鈴鹿署から再び通告を受けたことなどから男児を一時保護した。女は一時保護に前向きな姿勢だった。

児相は女から相談を受けて以降、1週間に2―3回のペースで男児への面会を試みたほか、スーパーへ買い物に連れて行くなどの対応を取った。家庭訪問で男児に会えなかった日もあったという。

県子ども・福祉部の近正樹子ども福祉・虐待対策課長は記者会見で「一時保護に抵抗する子どもを無理に連れて行くことは難しい。粘り強く説得していた」と説明。「児相の対応に問題はなかった」と述べた。