伊勢新聞

2023年11月22日(水)

▼令和7年度に開校する三重県立夜間中学と、東紀州の木本、紀南2高校の統合校の校名候補を各10案ずつ、県教委が明らかにした。いずれも県民らから募集し、夜間中学には312種類。統合高校には362種類のほぼ同数の応募があり、その中から前者は県教委が、後者は地元住民らでつくる選定委員会が絞り込んだ。中学生や紀南地域の児童生徒などの投票を経て、年度内に校名を決める

▼夜間中学は▽明日葉▽うみかぜ▽ひかりの森▽まなみえ▽みえ奏▽三重響▽未来きずな▽ゆめ息吹▽夢つむぎ▽四葉ヶ咲。統合高は▽紀南木本▽熊南▽熊野/くまの▽熊野青藍▽熊野灘▽七里御浜▽蒼海▽東紀州▽三重熊野/みえ熊野▽三重南▽南牟婁

▼募集に際し、県教委は夜間中学について▽チャレンジが芽生える▽卒業後のイメージが広がる―などを「目指す姿」に、生徒らが誇りと希望を持ち、地域から親しまれる名前を条件に掲げた。統合高は「生徒たちが誇りを持てる校名を自由な発想で提案してもらいたい」(福永和伸県教育長)

▼結果は、一見して夜間中学校名候補が自由奔放で躍動感があるのに対し、統合高の方は堅く、不動の意思さえ感じさせる。夜間中学が一からのスタートで期待や願い、夢と希望があふれるが、統合高は長い伝統が途切れる危機感が伴い、なにくそという気持ちが自由な発想より伝統の校名を残そうという意識や、地域への思いを強めたのかもしれない

▼県教委の呼びかけに一矢報いてやろうという無意識の表れもあるのではないか。県教委は、2つの校名候補の温度差をいかに見るか。