伊勢新聞

高得点に必要な手法助言か 県職員評価の経験も、三重県企業庁贈収賄事件

三重県企業庁発注の水道設備補修工事入札を巡る贈収賄事件で、受託収賄容疑で逮捕された県職員が、総合評価方式の入札で高得点を取るために必要な手法を熟知した上で贈賄側の会社に助言したとみられることが18日、捜査関係者への取材で分かった。

関係者によると、県伊勢農林水産事務所課長の酒德和也容疑者(57)は、贈賄容疑で逮捕された土木工事会社「新陽工業」(四日市市)社長の新井政智容疑者(45)から現金を受け取る約束をした時期と同じころ、入札参加者の提案を評価する審査員を務めていた。

当時の勤務先は尾鷲農林水産事務所で、事件となった入札を発注した企業庁北勢水道事務所ではないが、総合評価方式での入札は共通のガイドラインを運用している。このため、県警は酒德容疑者が近年の入札で高得点を得るための手法を知っていた可能性があるとみている。

また、県警が事件当時に北勢水道事務所浄水部の副参事だった小野弘春容疑者(60)について、今回の入札に関する内部情報を新井容疑者に漏らしたとみていることも判明。入札で高得点を得られるよう、施工などに関する助言もしていたとみられる。

県警は酒德、小野両容疑者が事件で担った詳細な役割や、新井容疑者に助言した具体的な内容を調べている。3人が約束したとされる現金の授受が実際にあったかどうかや、3人が知り合った経緯なども捜査する方針。

事件を巡っては、酒德、小野両容疑者が令和3年7月ごろ、北勢水道事務所が発注する工事の入札で、技術資料の作成について指導や助言をするなどの便宜を図る見返りに、現金を受け取る約束を新井容疑者と交わしたとされる。