逮捕翌日にも落札 水道工事贈収賄事件、新井容疑者の会社 三重

三重県企業庁発注の水道設備補修工事の入札を巡る贈収賄事件で、贈賄容疑で逮捕された新井政智容疑者(45)=四日市市楠町=が社長を務める土木工事会社「新陽工業」(同市塩浜)が、新井容疑者が逮捕された翌日の16日にも四日市市発注の水道工事を落札していたことが17日、市への取材で分かった。

市によると、同社が落札したのは、市内の複数箇所にある水道管を耐震化する工事。市上下水道局が先月2日に入札を公告し、今月16日に開札した。工期は令和7年1月末までと定めている。

この入札は、捜査対象となっている工事と同じく、価格のほかに技術提案なども加味する総合評価方式で実施。参加した6社の入札金額は同じだったが、新陽工業は技術提案などの評価点で最も高かった。

同社は約3億6千万円で工事を落札した。上下水道局は16日に落札結果を同社に電話で伝えた上で、17日付で契約を交わした。同社側からは、開札前などに入札を辞退する申し出はなかったという。

役員が有罪判決を受けた会社は入札参加資格を停止するなどの行政処分が出されるが、逮捕直後での行政処分はない。今後、市が行政処分を出したとしても過去の契約にさかのぼって適用されることはない。

また、受託収賄容疑で逮捕された元県職員の小野弘春容疑者(60)と、県伊勢農林水産事務所農地海岸保全管理課長の酒徳和也容疑者(57)が、市発注の入札にも関わりがあったかどうかは分かっていない。

上下水道局総務課は取材に対し、入札に不審な点はなかったと説明。「事件は報道で知ったが、同社からの提出書類も整っており、粛々と契約した。いずれにせよ、工事はしっかり進めてほしい」としている。

事件では小野、酒德両容疑者が令和3年7月ごろ、県企業庁が発注する工事の入札で、技術資料の作成について指導するなどの便宜を図る見返りに、現金を受け取る約束を新井容疑者と交わしたとされる。