他に12件が同じ入札方式 三重県の水道工事贈収賄、「総合評価」で新陽工業受注

【北勢水道事務所に立ち入る県警の捜査員ら=四日市市安島2丁目の北勢水道事務所で】

三重県企業庁発注の水道設備補修工事の入札を巡る贈収賄事件で、贈賄容疑で逮捕された新井政智容疑者(45)=四日市市楠町=が社長を務める土木工事会社「新陽工業」(同市塩浜町)が令和元年度以降に企業庁の北勢水道事務所から受注した工事のうち、今回の事件で捜査対象となった「総合評価方式」での入札が他に12件あることが16日、県への取材で分かった。

企業庁によると、新陽工業が同事務所から受注した100万円を超える契約金額の公共工事は25件。内訳は令和元年度が8件、2年度が4件、3年度が3件、4年度が4件。本年度は既に6件を受注した。

このうち事件となった工事を含む13件は、入札金額に技術力を加味する総合評価方式での一般競争入札で落札。他の12件は漏水の緊急対応などに関する随意契約や通常の一般競争入札だった。

また、これら25件のうち、既に契約金額が確定している工事の総額は約33億9300万円。うち総合評価方式による落札分は31億7700万円に上っており、全体の9割以上を占める。

受託収賄容疑で逮捕された元県職員の小野弘春容疑者(60)と県職員の酒德和也容疑者(57)は、令和3年7月の入札1件で資料作成に助言する謝礼として、新井容疑者から現金を受け取る約束をしたとされる。

この入札には8社が参加していた。同社を含む4社が同じ金額で入札したが、評価点は同社が最も高かったという。県警は他の入札でも同様の容疑が浮上した場合は、さらなる捜査を進める方針。

また、企業庁は北勢水道事務所などで17日に実施する予定だった防災訓練を中止すると発表した。事件を受けて県警の捜査などに対応すると、訓練に当たる人員を確保することが困難だと判断した。