伊勢新聞

伊勢一刀彫の魅力伝えたい 玉城町の太田さんがCF、端材で精油など開発 三重

【クラウドファンディングに挑戦している伊勢一刀彫職人の太田さん=玉城町で】

【度会郡】三重県玉城町の伊勢一刀彫職人、太田結衣さん(35)が、材料として使用するクスノキの端材を活用したオリジナル精油の開発費をクラウドファンディング(CF)で募っている。10月中旬から始めたプロジェクトは初日に目標金額の70万円を達成し、現在はハンドバームの開発費を加えたネクストゴールの175万円に挑戦。CFを通して伊勢一刀彫の魅力を伝えようと奮闘している。

県指定伝統工芸品の伊勢一刀彫は、一度の刻みがそのまま仕上げ面になるような荒削りで大胆な造形が特徴。材料は主にクスノキが使われており、その香りや素朴な温かみが好評を得ているという。

職人歴14年の太田さんは、主に全国各地の神社の干支守を制作するほか、バッグやアクセサリーなど伊勢一刀彫の可能性を広げる商品作りに取り組み、屋号『一刀彫結』として活動。観光地や百貨店などでワークショップや実演も行っている。

【伊勢一刀彫の端材を活用したブレンド精油やハンドバーム、リフレッシュスプレー=玉城町で】

以前から、商品に向かない木の節や色味の強い部分を活用できないかと考えていたが、クスノキから樟脳と芳香蒸留水が取れることが分かり、化粧品製造販売などを手がける「サカキL&Eワイズ」(松阪市)と共同で商品開発を実施。樟脳にユズとラベンダーのエッセンシャルオイルを混ぜて2種類のブレンド精油を作り、芳香蒸留水はリフレッシュスプレーとして商品化することにした。

ハンドバームも、「安心して使える物を作りたい」という思いから開発を決めた。天然素材のみを使用し、大台町産のニホンミツバチの蜜ろうに、クスノキから取れた樟脳とラベンダーのエッセンシャルオイルなどを配合する。開発した商品は一刀彫結の新商品ブランド「kurasiko+」として販売する予定。

「クラウドファンディングは皆さんと一緒になってできるのでうれしくて力になる」と太田さん。「伝統工芸や伊勢一刀彫への理解を深めてもらい、後継者不足の問題など現状も知ってもらいたい」と話した。

寄付は23日まで、CFサイトの「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」で受け付けている。

【CFサイト「キャンプファイヤー」のQRコード】