三重県企業庁発注工事をめぐる受託収賄容疑で県職員が逮捕された事件を受け、県の更屋英洋総務部長は15日の緊急記者会見で「県民からの信頼を著しく低下させ、誠に申し訳ない」などと陳謝した。
県は同日午後1時半ごろに県警から連絡を受けて逮捕を把握。約2時間後に緊急会見を開いた。不祥事の会見で部長の出席は異例。当初は人事課長が対応する予定だったが、直前になって部長の出席が決まった。
贈収賄容疑で県職員が逮捕されるのは、平成4年12月以来31年ぶり。更屋部長は会見で「コンプライアンス(法令順守)に取り組む以前の問題。決して許されるわけではない」と述べた。
更屋部長らは県職員の酒德和也容疑者(57)について「勤務態度に問題はなく、部下の相談にも丁寧に対応していた」とし、元県職員の小野弘春容疑者(60)についても「問題があるとは聞いていない」と説明した。
県によると、酒德容疑者と小野容疑者は平成7年4月から同9年3月まで、津農林水産事務所で勤務していた。両容疑者の関係性や知り合った経緯などは「分かっていない」(人事課)という。
一方、更屋部長らは2人とも今回の入札で業者の選定などには関与しない立場だったとの認識を示した。過去に得た知見を活用するなどして入札の評価点を引き上げる手助けをした可能性があるとみている。
小野容疑者は昨年3月末に早期退職し、翌月には県の情報提供制度を利用して水道事業関係の会社に再就職していた。企業庁が懲戒免職相当と判断すれば、小野容疑者に退職金の返還を求める可能性がある。
この日、一見知事は都内に出張していた。人事課を通じて「職員が収賄容疑で逮捕されたことは県政への信用を失墜させるもので、深くおわびする。捜査に最大限協力する」とのコメントを出した。