伊勢新聞

2023年11月10日(金)

▼10月末、青山高原の風力発電施設などを見学した報道機関と中部電力パワーグリット三重支社幹部らとの懇親会で、話は最近の物価高で盛り上がった。不作の野菜などの高騰ぶりに加え、ペットボトルなど日用品の値上げラッシュまで共感したのは意外な気もしたが「給料はさっぱり上がらないのに」という言葉に耳を疑った。えっ、中電も―

▼真偽はともかく、県はめでたく2年連続の職員の月給とボーナスの引き上げを発表した。7月に昨夏から増額したボーナスを支給したが、12月分はさらに増える

▼民間159事業所への調査で、県人事委員会は月給・ボーナスとも県職員が少なかったとして引き上げを勧告した。へー、という気はする。一見勝之知事は物価高を踏まえて勧告を受け入れたとして「若い職員に働きがいとともに、仕事に見合った給料をもらっていると感じてもらう必要がある」。ごもっとも

▼「日本の給与は低く抑えられてきた。弊害が出ている」「官民とも給料を上げるのが大きな流れ。そうでないと国力がそがれる」、まず「官」が率先して、ということか。知事の月給を据え置いたのは、岸田文雄首相の月給引き上げを巡るSNS、国会の反発に配慮したか

▼もっとも、前知事の月給大幅返上に対して議会は法令を順守せよと苦言を呈してきた。一説には、議員給与があがることに後ろめたく感じる向きがあるとも言われた。県ではむしろ据え置きに反発が出る可能性がある

▼据え置きの理由について知事は特に説明はしていないらしい。自らの発言に面はゆさでもあったのかもしれない。