長寿認定こども園(三重県桑名市)での虐待をめぐる問題で、県は2日、園を運営する花園福祉会が改善報告書を提出したと発表した。職場環境の改善や定期的な研修などによって再発防止を図るとしている。県と市は近く園に改めて監査を実施し、報告書に基づく改善策が取られているかどうかを確認する方針。
県によると、提出は1日付。報告書は虐待の要因に保育士らが子どもの権利に関する研修を十分に受けていなかったことや職員間のコミュニケーション不足、行事の準備などによる業務負担などを挙げた。
再発防止に向け、保育士が働きやすい職場環境を整えると説明。保育士への研修会を定期的に実施することも盛り込んだ。問題が発生した場合には即時に報告が上がる雰囲気や体制も整えるとしている。
保護者への対応は「信頼関係の回復に取り組んでいる」と説明。保護者に日常の保育を見学してもらう機会を設けた。廊下に当日の出来事や連絡事項などを掲示するホワイトボードを設置するという。
また、報告書は虐待が発生した当時に園長を務めていた花園福祉会の加藤晶子理事長が、問題への責任を取って10月31日付で理事長職を辞任したことも明記した。近く後任の理事長を選ぶ見通し。
当時の園長も虐待の「ネグレクト」に当たるとの認定を県から受けたことについて、報告書は「園長が積極的に情報を把握していなかった」と説明。園長のマネジメント力を高めるとしている。
問題をめぐっては、県と市が認定こども園法などに基づく特別監査を経て9月7日、18件の虐待を含む52件の不適切な行為があったと認定。改善報告書を提出するよう、花園福祉会に求めていた。
一見勝之知事は「県の指摘に一定の回答があったことを確認している。実際に改善されることが何よりも大切。頻度を上げて厳正な監査を実施し、安心して施設を利用できる環境を整える」とコメントした。