伊勢新聞

2023年11月1日(水)

▼「近年、家庭から排出される一般廃棄物の減量と資源化を図るため、ごみ処理を有料化する自治体が多い」と、三重県津市の前葉泰幸市長が市広報誌の『市長コラム』で書き出している。小見出しが「ごみ収集有料化の動き」。おや大変と読み出したら「津市は自主財源で賄うべき基礎的な行政サービスの一つとして、家庭ごみの無料収集を続けています」と結論。感謝しなさいよと言われたようで、思わず頭が下がった

▼以下「社会の変化に対応したごみ収集体制」と話は一転して、高齢者や障害者のたんすなど、大型ごみの排出に協力する職員体制を説明し、希望者の申し込みを呼びかけて終わる。結構な話だが、有料化の動きやごみの減量、資源化など、ごみ問題は尻切れトンボの感。期待外れではあった

▼津市は公共的スペースからごみ箱を一掃したのはずいぶん前。近くの運動公園の目立たぬ通りの垣根の奥にカラのペットボトルや食品容器が多数押し込まれているのはそのためだろう。コンビニのごみ箱も、かつては通りに面していたが、今は店内が普通。「家庭ごみは持ち込まないで」の張り紙も現れている

▼家庭ごみ無料収集のためのごみ集積所には「資源ごみ持ち去り禁止」の張り紙があり、「警告」のラベルが張られた分別していないごみ袋が相当数、置き去りにされている。食品ロスの問題も含め、津市のごみ問題は有料化を口にしたくなるほど山積しているということではないか

▼障害者、高齢者への行政サービスと一般廃棄物対策は行政課題としては別のジャンルだろう。きちんと分類した話も聞きたい。