伊勢新聞

「令和元年時点で市に苦情」 桑名のこども園虐待問題、三重県に情報共有求める

【総括質疑に臨む予算決算常任委の委員ら=県議会議事堂で】

三重県議会予算決算常任委員会は30日、令和4年度一般会計歳入歳出決算の総括質疑を実施した。長寿認定こども園(桑名市)の虐待問題で、倉本崇弘委員(草莽、3期、桑名市・桑名郡選出)は「保育士が怒鳴るのは日常茶飯事」との苦情が令和元年時点で市に寄せられていたことを明らかにし、市との情報共有を徹底するよう求めた。

倉本委員が市に実施した情報公開請求の結果によると、市は令和元年7月、園児の保護者とみられる人物から「お昼寝で寝られないと怒られる」「先生が怒鳴るのは日常茶飯事」との苦情を受けていた。

また、翌年7月上旬には「まだエアコンがついていないようで熱中症が心配」とした上で、保育士が「いっぱい飲むとおしっこに行くから一口ね」などと、お茶を飲む量を制限しているとの情報も寄せられた。

当時、市が園に事実関係を確認したところ「風が通るので一日中ではないが、エアコンもつけている。コップになみなみとつぐ子もいるため、お茶は時間を決めて飲ませている」などとする回答を受けたという。

倉本委員は、園に関する17件の苦情や問い合わせが平成30年から市に寄せられていたと指摘。「一つでも県に届いていれば、早く対応できたはず。軽微な内容でも市と県が速やかに共有すべき」と訴えた。

また、倉本委員は今回の問題について「保護者が市に訴えても目立った動きがなく、最終的に県やメディアに訴えて動き始めた。市の担当者の意識が軽薄で、園への遠慮があったのではないか」と指摘した。

中村徳久子ども・福祉部長は「今回の事案を重く受け止めている。今後はしっかり対応すると確認した」と述べ、市との情報共有を図ると説明。保育士への研修を充実させ、実地監査を徹底する考えも示した。

問題は3月、保護者が市に相談して発覚。県と市は特別監査を経て9月、保育士が園児の足を持って引きずるなど、令和元年以降で18件の虐待を含む52件の不適切な行為があったと認定していた。

この日は喜田健児(新政みえ、2期、松阪市)▽芳野正英(同、2期、四日市市)▽森野真治(同、5期、伊賀市)▽小林正人(自民党、5期、鈴鹿市)▽石田成生(同、4期、四日市市)▽野口正(同、3期、松阪市)▽山内道明(公明党、3期、四日市市)▽稲森稔尚(草の根運動いが、3期、伊賀市)▽吉田紋華(共産党、1期、津市)―の各委員も質問した。