伊勢新聞

2023年10月28日(土)

▼岸田首相は所信表明演説で「経済」を3回も連呼して、所得税減税をぶち上げた。しかし、評判はすこぶる悪い。1年間限定の上、実施は来年夏となれば、効果はほとんどない。支持率アップ狙いが見透かされている。「所得倍増」「分厚い中間層」「新しい資本主義」はどこへ行ったのか?

▼減税には理由がいるが、政府は理由を税収増とし、その恩恵を国民に分配するのだという。しかし、税収増をもたらしたのはインフレ(物価上昇)で、主に消費税収入がアップしたからだ。ならば所得税減税より、生活必需品にかかる消費税の減税がもっとも効果のある経済対策だろう

▼結局、所得税減税も、業者に補助金、低所得者に給付金というような、一時しのぎの「弥縫策」に過ぎない。つまり、長期的には何もしていないに等しい

▼現在、政府予算は税収の約2倍に達し、赤字国債は積み上がる一方。それなのに毎年同じことを繰り返している。日銀は目標のインフレ率2%を達成したのに金融緩和を止めない。金利にも円安にも何もしていない。よく日本は「法治国家」と言うが、これでは「放置国家」ではないか。