▼知事の三重県内視察が災害現場や新たにオープンする施設などというのはよくあるが、不祥事を起こした県の一部門というのもその一環か。一見勝之知事が母親による女児暴行死事件を防げなかった県中勢児童相談所を視察し、女児の一時保護を担当した職員の訴えに耳を傾けて増員の検討を約束した
▼事件発生から5カ月。検証委員会が調査を進めている最中だが、知事は「多くの方から人員が足りないと伺った。どう改善するかを考えたい」。原因は人手不足だったと、結論を先取りするかのようだが、検証委の報告はもう分かっているということか、あるいは検証委の報告によっては、改善策の優先順位も大きく変わってくるということか
▼虐待相談件数が急増し、児相職員の人手不足は慢性化していたのは確かで、虐待死や重篤事件が相次いだ10年余り前から指摘されていた。そのために各児相に3人ずつ増員し、各児相を統括する児童相談センターを創設し、AI(人工知能)を導入。市町の相談部門や教育委員会との連携強化や、警察組織との密接な協力体制を打ち出した
▼津市の前葉泰幸市長は事件後、第一義的責任は県にあるとした上で、市としてもう少し県に情報提供できなかったか、と反省している。県と市との連携については、まだまだ十分ではないことを証言した格好だが、ほかの対策はどうだったか。職員定数に限界がある以上、負担軽減が増員だけでは相談増に追いつかないし、問題解決にならない
▼視察時期について知事は「(8月に)職員を増やしてからで、タイムリーだったかも」。さて―?