▼ああ、またかという思いを禁じ得ない。カシオ計算機のオンライン学習アプリが不正アクセスされてデータベースから個人情報12万7千件余が流出した問題で、同アプリを授業で活用する県教委からも高校生、教諭の情報4千人分が漏えいしたらしい
▼何よりむなしいのは、県教委が「現段階で漏えいによる被害は確認されていない」などと、相も変わらず気休めにもならないことを口にしていることだ。NTT西日本子会社から10年にわたり、県を含む大量の個人情報流出が発覚したばかり。名簿業者に渡っていることは確実という発表だったが、むろん名簿業者が最終ユーザーではない。さまざまな業者の手でさまざまに加工され、反社会勢力に利用されることも懸念されている
▼いつぞやJRの通勤用ICカードのデータが本人の許可なく購買動向などの分析に利用されていることが発覚し非難されたことがある。当時NTT西日本幹部は「ビッグデータの活用は将来の戦略。データの蓄積はしている」と語っていた。流出データの中には、すでに始動していることを思わせるデータも見かけた
▼教育界では10年ほど前、通信教育大手ベネッセコーポレーションが3500万件の情報を流出させ大騒動になった。カシオ計算機が流出させたのはメールアドレス、学年学級、サービス購入履歴などだが、詳細は不明という。ベネッセ事件からデータは格段に充実していようが、県教委はさらに無防備、あなた任せになっているに違いない
▼「同社からの報告を踏まえて対応を検討する」(県教委)。気休めになるかどうか。