2023年10月20日(金)

▼初めは計算専門業者へ業務を委託し、紙テープや磁気テープにしたデータを運んでいた。テープの製作も専門業者に委託するようになり、両業務を一括して受ける業者も現れるようになった

▼企業のコンピューター部門が拡大するにつれ、それら専門業者がコンピューター部門内に常駐して、コンピューターの操作やシステム構築に日常的に関わるようになった。派遣業法の制約から業務請負契約が結ばれ、コンピューター部門の1室が専門業者の支所とみなされ、業者の指揮監督者が統括した

▼企業側は誰が指揮監督者として担当するかが業者への信頼の基準となり、業者側も誰を派遣するかで企業の信頼を得ようとした。両者とも、互いの内情は知り尽くしていた

▼そのころの業者には専門家としての誇りがあり、社員教育の中心にも据えていた。いわゆるコンピューター犯罪は企業の社員に多かった気がするが、さらに業務が細分化され、オンライン化されていく中で、意識は変わった。NTTも激変する環境で自治体と提携したシステムの構築に力を注ぎ、子会社化を進めていく。NTTの名前を冠したNTT西日本の子会社の保守要員である元派遣社員が、10年で900万件の情報を流出させた

▼発覚はまた別の子会社の顧客の一報という。「総点検して信頼回復に努める」と子会社社長が釈明したが、期待はできまい。県からも2400件流出した模様

▼県担当者が「同じ個人情報を扱う立場として、情報管理の重要性を認識した」。委託した情報を誰がどんな処理をしていたのかは気にもならない言い回しである。