▼二度あることは三度ある。一度あったことは、それ以上に二度あるに違いない。そうなってはたまるまいからもあろうか、新たに組織された県立大設置の是非を検討する有識者会議は「慎重に」の報告を県に提出し、田村秀議長(長野県立大教授)が「さまざまな論点を多角的に議論し」県立大以外の選択肢を提示したという
▼「(大学設置の)目的が県内定着なら他の手法もある」「奨学金返還支援の方が、費用もかからず一定の効果は期待できる」などの報告がそれ、ということだろう。県立大設置は、若者定着策の一選択肢。県立大が本命ではない
▼「さまざまな」論点も7千万円超という費用と、若者を定着させる手法の効果をてんびんにかけた“費用対効果”論だったことは容易に想像できる。どんな大学が三重に必要かなどの検討は含まれていまい
▼少子化で私立大学の定員割れが進んで、国は大学新設のハードルをあげようとしている。かつて小泉改革でも似た政策が進んだ。4年制大設置を目指した亨栄学園は、当初は系列の鈴鹿短期大学の改組を前提にし、結果的に同短大の存続にも成功した
▼当時よりはるかに厳しい現実の中で、津市から県立移管を求められた津短大の改組などを選択肢の一つにする案は、一顧だにされた形跡がない。魅力あるカリキュラムとは無関係な大学設置運動というのもどうかという気がする
▼2年に及んだ県立大狂騒曲も幕引きとなるか。「何でそんなに大学を造りたがるのか」が三重大理事の最近の感想だから、県民にとってはもっと訳の分からない2年だったに違いない。