三重県人事委員会は13日、職員の月給とボーナスの引き上げを一見勝之知事に勧告した。「多様で有為な人材」の確保に向け、若手の重点的な引き上げを要請。月給とボーナスの引き上げ勧告は2年連続となる。
人事委員会によると、月給は平均0・75%(2843円)の引き上げ、ボーナスは年間0・1月分の引き上げを勧告。月給は4月分にさかのぼって適用し、ボーナスは12月分からの引き上げを求めた。
勧告の対象は警察官や教職員を含む2万767人。勧告が適用されれば、月給とボーナスを合わせて一人あたり年間で平均8万8000円の引き上げとなる。人件費としては約21億円の負担増となる。
民間への調査結果を踏まえた勧告。50人以上の事業者から抽出した159事業所の月給は38万3550円で県職員が2865円少なく、ボーナスは県職員が0・08月分少なかったという。
また、勧告は若手に重点を置いた月給表の改定を要請。大卒程度で6%(1万1000円)、高卒程度で8%(1万2300円)の初任給引き上げを求めた。初任給を1万円以上引き上げるのは33年ぶりとなる。
この日、中村佳子委員長や委員らが県庁を訪れ、一見知事と中森議長に勧告書を手渡した。中村委員長は「勧告に基づく実施を要請し、人事行政の課題解決に取り組むことを期待する」と述べた。
一見知事は「若年層に配慮いただき、ありがたい」と返答。「民間は終身雇用の時代でなくなったが、公務員は一定の品質を確保しなければならない。勧告を重く受け止めて検討する」などと述べた。
一見知事は勧告を受けた後の定例記者会見で、公文書の紛失などの事務処理ミスが相次ぐ中で職員の給与を引き上げることに「給与の引き上げと不適切な事務処理とは切り離して考える必要がある」と語った。
事務処理ミスの責任として自らの給与を削る考えについては「まずは是正が一番大事。職務を果たしていないのなら知事や職員の給与を下げることもあるが、そのような事態にはなっていない」と否定した。
【一見知事(手前)に勧告を手渡す中村委員長ら=県庁で】