【伊勢】三重県伊勢市の伊勢神宮の神嘗祭(かんなめさい)に供えるタイの干物「御幣鯛(おんべだい)」を載せた船が12日、愛知県南知多町の篠島から伊勢市の神社港に入港した。台風やコロナ禍の中止を経て、5年ぶりの入港となり、地元住民らに歓迎を受けた。
篠島漁協関係者ら約45人が乗った6隻の魚船が、神宮への奉納を意味する「太一御用」ののぼりや大漁旗を掲げ、篠島から伊勢湾を渡り約一時間かけて港に到着。唐ひつに入れた御幣鯛160枚を、桟橋に陸揚げした。
港では、地元の小学生たちが和太鼓の演奏や木遣(きや)りで一行を出迎え、歓迎式典で大湊保育園児らが漁師らに花束を手渡した。篠島漁協の榊原満男組合長(70)は「5年ぶりの歓迎に感謝。行事を通して神社地区との絆が深まることを願う。交流を次の世代につないできいたい」とあいさつした。式典後、一行は内宮へ向かい、タイを奉納した。
篠島はかつて神宮領とされ、古くから神宮に奉納する干鯛が作られてきた。海路を使った奉納は、昭和初期に途絶えたが、平成10年に復活させた。