▼AI(人工知能)というと、数年前の県予算案審査を思い出す。「役に立つことは分かるが」と当時の財政担当の副知事が言った。あまりに高額だから費用対効果の視点も必要だと、導入に否定的だった
▼県としては2例目の導入だった。1例目は、前知事がリードし、その効能を絶賛していたが、具体的には議事録作成が格段にスピードアップし、職員の負担が軽減したと口を極めた。県民には実感の乏しい効果の気がしたし、総合教育会議などはこのころ全議事録掲載が要点になったので、むしろ逆行した印象も受けた
▼そして、鳴り物入りの児童相談所での活用である。急増する虐待相談件数と限界のある職員増や、職員の能力不足をも補う、一石三鳥のツールで、分析や決定に威力を発揮するみたいな話だったが、先の津市の児童暴行死事件では、危険を見逃したのはAIも緊急性を判断しなかったなどと責任の一端を担わせるかの釈明をしていた
▼県は今度は新たにデジタル推進局が「生成AI」を導入し、文書を自動作成する「チャットGPT」を活用する方向で検討しているという。メリット、デメリットや可否を判断するというから、特に必要に迫られてということではないらしい。「有効活用すれば効率が飛躍的に高まる」というのが、県に助言する「デジタル推進フェロー」の意見。それはそうだろう
▼メリットが多いのは「生成AI」の最近の報道で推察できる。「生成AI活用ガイドライン(仮称)」も充実したものになるに違いない。「有効活用」できるかが、過去の実績を振り返ると心もとない。