伊勢新聞

三重県議会常任委 観光消費額1.5倍に 県が基本計画中間案 

【観光振興基本計画の中間案について説明を受ける政策企画雇用経済観光常任委=県議会議事堂で】

三重県議会は10日、政策企画雇用経済観光、防災県土整備企業、教育警察の各常任委員会を開いた。観光部は来年度からの3年間を対象期間とする新たな「観光振興基本計画」の中間案を示した。「三方よしの持続可能な観光地」を目指す姿とし、令和8年の観光消費額を現状の約1・5倍に当たる6500億円に引き上げることを主目標に掲げた。

<政策企画雇用経済観光=芳野正英委員長(8人)>
中間案は旅行者や事業者だけでなく、住民も含めて恩恵を享受できる観光振興を目指す。長期滞在の旅行に適した環境整備や効果的な誘客のプロモーション、人材不足の解消などにも取り組むと定めた。

観光従事者や県民の満足度向上も目標に定めた。県の調査で「県内を旅行先として紹介したいか」との質問に「大変そう思う」と回答した旅行者の割合を、現状の27・9%から40%に引き上げる方針。

一方、生川哲也副部長は目指す姿に盛り込んだ「三方よし」について「(有識者から)近江商人由来の言葉で少し引っかかるとの声もある。工夫が必要」と述べ、検討を続ける考えを示した。

11日から来月9日まで中間案へのパブリックコメント(意見公募)を実施する。有識者らによる審議などを経て、12月の常任委に最終案を示す。来年の2月定例月会議に議案として提出する方針。

スマートメーターの導入検討 工業用水道、業務効率化で

<防災県土整備企業=石垣智矢委員長(7人)>
企業庁は業務の効率化などを目的として、工業用水道を契約している事業者が使用した水の量を自動的に検針する「スマートメーター」の導入に向けた検討を進めていることを明らかにした。

企業庁によると、現状では毎月、職員らが工業用水道を契約する91社の104工場を訪れて水道の使用量を検針している。スマートメーターを導入すれば、現場を訪問せずに使用量を把握できる。

企業庁は平成22年から、市町に水道用水を供給する事業で使用量を自動的に確認できるシステムを採用している。県外では、府県や市町が営む15の工業用水道事業でスマートメーターを導入している。

企業庁は「スマートメーターの導入によって業務の効率化が進むと期待できるため、他の事業体による事例を調査している。導入の課題などを整理し、費用対効果を含めて検討する」としている。

架空料金請求が大幅増 特殊詐欺被害の約半分

 <教育警察=山内道明委員長(8人)>
県警は料金の未納やコンピューターウイルスの除去などを名目に金銭の支払いを求める架空料金請求詐欺が今年に入って大幅に増えていると報告。特殊詐欺被害の約5割を占めていると説明した。

県警によると、8月末までに認知した特殊詐欺の被害は184件で、前年同期比で110件の増加。うち架空料金請求詐欺は67件増の96件で、昨年1年間で認知した件数を既に上回った。

架空料金請求詐欺の被害額は前年同期比約1億340万円増の約2億1380万円。コンビニなどで電子マネーを購入させて利用番号を伝えさせる手口が架空料金請求詐欺の75%を占めた。

県警は「物品を配布したり、動画を配信したりして県民の被害防止意識を定着させる」と説明。水際対策として、金融機関やコンビニなどの店員に来客への声かけを強化してもらう考えを示した。