2023年10月8日(日)

▼熊野市の名門、三重県立木本高と御浜町の紀南高が統合されることになり、県教委の福永和伸教育長が間髪入れずの感で統合校の名称を募集した。新校の知名度と開校気運という目的の一方、生徒たちが誇りを持てる学校も名称に担わせるという。県教委の役割はどこへ

▼新校の学校像は「持続可能な社会の一員としてふるさとを想い、未来に希望を持って幸福を実現する人材を地域とともに育てる開かれた学校」という。どこの学校にも求められる像だろう。両校の校舎を引き続き活用するというのも、像を具体化する県教委の知恵が見えない。お手軽な統合案といえないか

▼県立高の定数割れに苦慮し、県教委をあげて「魅力ある高校づくり」に取り組んだことがある。紡績工を対象にした昼間定時制・飯野高は全日制となり、応用デザイン科、英語科を新設。高い評価で県外からも学生を呼び寄せた。同じく四日市北高は名称を北星高校と改称するとともに不登校生専門校として単位制を導入。一躍、人気校となった

▼リゾート、観光科が注目されたことがある。「幸福を実現する人材育成校」という統合校もスローガンだけではなく、そのための中身の工夫が伴って、はじめて過疎化ゆえの苦渋の選択からの“ピンチをチャンスに”になるのではないか

▼4~8月末まで、県や市町の施策を利用した県内移住者は前年同期比26人増の178人。最も多いのは東紀州で、家族が多いらしい。県の魅力を教育面からアピールするのも東紀州の高校として一考に値しよう。市町の小中一貫校程度の知恵は見せてもらいたい。