三重県議会は6日、総務地域連携交通、環境生活農林水産、医療保健子ども福祉病院の常任委員会を開いた。障害者入所施設「県いなば園」(津市稲葉町)の男性職員=当時=が入所者に暴行を加えた問題で、子ども・福祉部は施設を運営する県厚生事業団に改善報告書の提出を指示する考えを示した。施設で2年前にも心理的虐待があったことを踏まえ、再発の原因分析などを求める。
再発の要因分析や検証を求める
〈医療保健子ども福祉病院=川口円委員長(8人)〉
施設では8月20日、男性職員が扉を蹴っていた男性入所者をモップの柄で制止。馬乗りになって腹部の周辺を蹴った。男性が入所前に居住していた松阪市は障害者虐待防止法に基づく身体的虐待と認定した。
県は先月28日に事業団の担当者から改めて虐待の事実関係などを聞き取った上で、障害者総合支援法に基づいて改善報告書の提出を求めることにした。早ければ10月中旬にも提出を指示する方針。
子ども・福祉部は「(事業団には)再発に至った要因の分析や、これまでの取り組みに対する十分な検証を求める」と説明。「定期的に現地で状況を確認するなど、継続的に指導する」としている。
森と緑の県民税、来年度以降も継続へ
〈環境生活農林水産=山崎博委員長(8人)〉
農林水産部は県民一人あたり年間で千円を徴収している「みえ森と緑の県民税(県民税)」を来年度以降も継続する方針を示した。国も来年度から一人あたり年間千円の「森林環境税」を新たに徴収する。
県は本年度末までの5年間を対象としている県民税の「第2期」が終了することを受け、制度継続の是非などを検討していた。検討にあたっては、県民税の評価委員会が提出した答申などを踏まえた。
同部は制度の継続を決めた理由について、災害時などに流木が発生する危険性がある流域が県内で約1500に上ると説明。「災害に強い森林づくりの必要性は依然として高いため」としている。
県内移住は178人、東紀州が最多
〈総務地域連携交通=喜田健児委員長(8人)〉
地域連携・交通部は、県内への移住促進に向けた取り組みの状況を報告。県や市町の施策を利用して4月から8月末までに県内に移住した人は178人で、前年同期比で26人増えたと説明した。
県によると、移住先で最も多いのは東紀州で58人。次いで多いのは伊賀地域で44人だった。家族構成は、単身が前年同期比12人減の39人。「親と未成年の子」が41人増の83人だった。
県は助成制度や相談窓口など、市町の施策が充実したことが増加の理由とみている。県の魅力を紹介する「移住フェア」や、県内での暮らしを体験するイベントを開くなどして移住者を増やしたい考え。