▼岸田首相は会議が大好きだ。先月末には「認知症と向き合う『幸齢社会』実現会議」を立ち上げ、今月2日には“異次元の少子化対策”実現のためにつくった「こども未来戦略会議」を鳴り物入りで開催した。首相就任と同時につくったのが「新しい資本主義実現会議」で、こうした会議を通して、これまで“聞く力”を存分に発揮してきたという
▼それにしても政府内(内閣と12省庁)にどれほどの数の会議があり、どれほどの数の有識者が知恵を出しているのか? 内閣府などのHP(ホームページ)には会議がリストされており、合計するとなんと千を超える
▼「業績が悪い会社ほど会議が多い」と言われる。日本の労働生産性が低いのは無駄な会議が多すぎるからだとも。その結果が「失われた30年」で、P・ドラッカーは「会議を重ね過ぎるとついには最悪の策が取られる」と言っている
▼政府会議の頂点は閣議だ。その決定は憲法にも内閣法にも書いていない「全員一致」。全員一致は人間が神(全能)でない以上不自然。かくして日本の会議は議論より根回し・合意形成の場となり、「会議は踊る、されど進まず」が繰り返される。